被改正法 | 雇用保険法施行規則 |
改正法 | 雇用保険法施行規則の一部を改正する省令 |
公布日 | 令和6年12月17日 |
施行日 | 令和6年12月17日 |
詳細 | 概要 パブリックコメント |
改正の背景
令和6年11月に閣議決定した「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を受け、雇用保険法に基づく各種助成金について、令和6年能登半島地震に関連した制度の新設や見直し等が行われます。
改正の概要
1,産業雇用安定助成金 災害特例人材確保支援コースの新設
令和6年能登半島地震に伴う経済上の理由により、急激に事業活動の縮小を余儀なくされ、急激に事業活動の縮小を余儀なくされ、被保険者の雇用を在籍型出向により維持するため、被保険者を送り出す事業主及びその被保険者を受け入れる事業主に対し、一定期間の助成を行う災害特例人材確保支援コースを新設。
■対象事業主
《出向元事業主》
次のイ及びロに該当するものとする。
イ 令和6年能登半島地震に際し、七尾公共職業安定所及び輪島公共職業安定所の管轄区域(※)に所在する事業所の事業主であって、当該地震に伴う経済上の理由により、当該事業省において、急激に事業活動の縮小を余儀なくされた事業主であること
ロ 出向先事業主と出向に関する契約を締結し、雇用する被保険者について次の1~6までのいずれにも該当する出向をさせ、出向をした者に係る出向の状況及び出向をした者の賃金についての負担状況を明らかにする書類を整備している事業主であること
- 出向期間の初日がこの省令の施行日から令和7年12月31日までの間にある出向であること
- 出向期間が1か月以上1年以内であって、当該出向の終了後出向元事業主の事業所に復帰するものであること
- 出向期間における通常賃金の額が、おおむねその者の出向前における通常賃金の額に相当する額であること
- 出向の時期、出向の対象となる労働者の範囲その他出向の実施に関する事項について、あらかじめ出向元事業主と当該出向元事業主に係る事業所の労働組合当との間に書面による協定がなされ、当該協定の定めるところによって行われるものであること
- 出向をした者の同意を得たものであること
- 都道府県労働局長に届け出た出向計画に基づくものであること
(※)石川県七尾市、中能登町、羽咋市、志賀町、宝達志水町、輪島市、穴水町、珠洲市、能登町を指す
《出向先事業主》
あらかじめ出向元事業主と出向に関する契約を締結し、雇入れた者に係る出向の状況及び雇入れた者の賃金についての具体的状況を明らかにする書類を整備している事業主であること。
■対象被保険者
雇用保険法第4条に規定する被保険者の打ち、次のイ~ハに該当する者を除いた者とする。
イ 初回出向開始日の前日において出向元事業主に継続して雇用された期間が6か月未満である被保険者
ロ 解雇を予告された被保険者等(解雇を予告された被保険者その他これに準ずる者(※))
ハ 日雇労働被保険者
(※)当該解雇その他離職の日の翌日において安定した職業に就くことが明らかな者を除く
■支給額
出向元事業主及び出向先事業主が令和7年12月31日までの出向期間における賃金について出向契約に基づいて負担した額(当該契約に基づいて負担した額の合計額が、出向前にける通常賃金に支給対象期間の日数を乗じて得た額を超える場合は、出向前における通常賃金に支給対象期間の日数を乗じて得た額に、当該契約において当該事業主が負担することとされている割合を乗じて得た額)に対して、次の表のとおり支給するものとする。
雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について【概要】|厚生労働省
※一人の事業主に雇用された同一の被保険者に対する助成金の支給は12カ月(365日)を限度とする
※同一の出向先事業所について、一年度出向被保険者500人分を上限とする。
2,雇用調整助成金 能登地震・豪雨特例の創設
能登半島地域における地震・豪雨の二重災害、高齢化が著しく進む過疎地域といった特段の事情を踏まえ、在籍型出向等への円滑な移行が十分可能な期間(令和7年の1年間)において、これまで講じていた能登地震特例と同様の措置を講じる。
また、令和6年9月20日~令和6年12月31日までの期間に、能登半島地域のおける地震・豪雨の影響により雇用調整助成金の支給を受けた事業所の事業主に対し、令和6年12月31日までの支給について上記の措置と同等の補助率の上乗せ等を行う措置を講じる。
■見直し内容
令和6年1月1日~令和6年12月31日までの期間に雇用調整助成金の支給を受けたものであって、対象区域に所在しており、対象期間の初日が令和7年1月1日から起算して2月がする日までの間にあり、能登地震・豪雨被災に伴う経済上の理由により、急激に事業活動の縮小を余儀なくされたもののうち、出向の推進に係る取組を行う事業主を対象に、以下の1~8の措置(能登地震・豪雨特例)を講ずる。
- 過去3年以内に休業等に係る雇用調整助成金の支給を受けたことがある場合について、当該雇用調整助成金の支給に係る日数を休業等に係る能登地震・豪雨特例の支給を受けようとする場合の受給可能日数から減じないこと
- 対象期間の初日が令和7年1月1日から起算して2月が経過する日までの間の休業等に係る能登地震・豪雨特例の対象として雇用調整助成金が支給された休業等の日数を、のちに別途受給する場合の雇用調整助成金に係る受給可能日数から減ずることとされている過去の受給日数に含めないこと
- 継続して雇用された期間が6か月未満の雇用保険被保険者の休業等について、支給対象とすること
- 過去に受給した雇用調整助成金の対象期間の満了の日の翌日から起算して1年を経過していない場合について、支給対象とすること。また、雇用調整助成金の対象期間は事業主が指定した日から1年(※1)とすること
- 能登地震・豪雨被災に際し対象区域内に所在する事業所の事業主が行う休業等に係る助成率を1/2→2/3(中小企業事業主は2/3→5/4)に引き上げる
- 能登地震・豪雨被災に際し対象区域内に所在する事業所の事業主が行う休業等に係る支給要件について、判定基礎期間における対象被保険者に係る休業等の実施日の延日数が、当該対象被保険者に係る所定労働延日数の1/30(中小企業事業主は1/40)以上であることとするとともに、支給上限日数を100日→300日に引き上げる
- 能登地震・豪雨被災に際し対象区域内に所在する事業所の事業主のうち、特例対象期間(※2)中に支給される休業等に係る支給を上桁事業主に限り、判定基礎期間の初日が令和年9月20日から令和6年12月31日までの間に休業等を行った場合については、休業等に係る助成率を1/2→3/2(中小企業は3/2→5/4)に引き上げる
- 7.の休業等の日数を、のちに別途受給する場合の雇用調整助成金に係る受給可能日数から減ずることとされている過去の受給日数に含めない
(※1)当該事業主がしていた日が令和7年1月2日以降にある場合、当該事業主が指定した日から令和7年12月31日まで
(※2)令和7年1月1日~令和7年12月31日までの間をいう
3,両立支援等助成金 出生時両立支援コース助成金の見直し
中小企業における男性育休取得率向上を強力に後押しするため、「第2種助成金」について、「第1種助成金」の支給実績を不要とした上で、こども未来戦略に掲げられた目標もふまえて、男性の育児休業取得率を大幅に上昇させ、高い水準を達成した場合に支給対象とするよう見直しを行う
■見直し内容
・第2種助成金の支給要件のうち、第1種助成金の支給実績及び第1種助成金の申請をした日以降に育児休業をした男性被保険者が2人以上であることを廃止
・第2種助成金は、男性被保険者の育児休業取得率が以下のいずれかの場合に支給することとする
申請事業年度の直前の事業年度(申請前事業年度)における男性被保険者の育児休業取得率が50%以上であり、申請前事業年度の直前の事業年度における当該割合より30%以上上昇している場合
申請前事業年度の直前の事業年度において配偶者が出産した男性被保険者が5人未満の場合に、申請年度の直前の2事業年度における男性被保険者の育児休業取得率がいずれも70%以上の場合
※第2種助成金の申請後に、第1種助成金の申請を行うことはできない
※同一年度に、第1種助成金と第2種助成金の両方の申請を行うことはできない
※第1種助成金の支給対象となる男性被保険者の同一の子に係る出産及び育児休業は、第2種助成金の申請に係る男性被保険者の育児休業取得率の算出には含めない
■支給額
雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について【概要】|厚生労働省
※同一事業主について、1回限りの支給
■加算要件
・育児休業取得率等に関する情報を公表した事業主への加算について、第2種助成金の支給についても対象とする(第1種助成金・第2種助成金を通算して1事業主当たり1回までの支給に限る)
・プラチナくるみん認定を受けている企業への加算について、第2種助成金の申請をする日までにプラチナくるみん認定を受けていた場合に、第2種助成金に15万円を加算して支給する
4,両立支援等助成金 育休中等業務代替コース助成金の見直し
育休中等の業務代替を行う周囲の労働者への「手当支給」等を実施した事業主を支援するため、支給対象となる事業主の範囲を拡大するとともに、「業務体制整備経費」の拡充等を行う。
■見直し内容
・「育児休業中の手当支給」及び「育児短時間勤務中の手当支給」を行った場合に助成金の支給対象となる事業主の労働者数に関する要件について、小売業、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主においても、「常時雇用する労働者の数300人以下」とする(「育児休業中の代替要員の新規雇用(派遣の受入れを含む)」は現行通り)
・手当導入等の業務体制の整備のため、社会保険労務士等に労務コンサルティング、就業規則の整備等を委託した場合の業務体制整備経費を増額する
・育児休業を1か月以上取得した被保険者又は育児短時間勤務制度を1か月以上利用した被保険者の業務を代替する労働者へ手当支給等を行った場合は、育児休業をした期間又は育児短時間勤務制度を利用した機関の初日から1か月間の手当に係る助成及び業務体制整備経費を分割して支給する(2か月目以降の手当に係る助成については従前通り)
■支給額 ※休業取得/制度利用者1人当たり
(注1)雇用環境・均等局長の定める要件は、業務体制整備のために社会保険労務士等による労務コンサルティングを行い、就業規則の整備等を社会保険労務士法等に委託すること
※初回の支給から5年以内が対象
※①の「育児休業中の手当支給」「育児短時間勤務中の手当支給」及び②の合計で1年度10人まで
※育児休業取得者1人につき、手当支給等と新規雇用のいずれかのみ支給
※①の「育児休業中の手当支給」及び「育児短時間勤務中の手当支給」の業務体制整備経費は、同一事業主についてそれぞれ1回限りの支給
※同一費保険者の同一の子について、手当支給等は育児休業・育児短時間勤務のそれぞれ1回まで支給
※育児休業1か月以上の場合、育児休業取得者に原職復帰後3か月以上の継続雇用の要件あり
※[]内はプラチナくるみん認定事業主への加算・割増
改正による影響
該当の地域に所在し助成金申請を検討している事業主に関しましては、支給要件を確認の上、申請手続きを進めましょう。