被改正法 | 次世代育成支援対策推進法施行規則 |
改正法 | 次世代育成支援対策推進法施行規則の一部を改正する省令 (令和6年10月31日厚生労働省令第146号) |
公布日 | 令和6年10月31日 |
施行日 | 令和7年4月1日 |
詳細 | パブリックコメント 概要 |
改正の背景
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律(令和6年法律第42号)の施行に伴い、本規則の一部が改正されます。
また、令和5年12月に労働政策審議会にて取りまとめられた「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について(建議)」より、各種認定制度が広く活用されているという点も踏まえつつ「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指すという観点や、男性の育児休業取得率の政府目標値が引き上げられたことから、「くるみん認定」「トライくるみん認定」「プラチナくるみん認定」の認定基準のうち、男性の育児休業等の取得率等の基準を引き上げます。
改正の概要
一般事業主行動計画の策定・変更の仕組みの見直し
(1)一般事業主が行動計画を策定・は変更しようとする際は、直近の事業年度における仕事と育児の両立に関する状況について、以下の事項の把握を義務化
・男性労働者の「育児休業等(※1)取得率」又は男性労働者の「育児休業等及び育児目的休暇(※2)の取得率」の状況
・フルタイム労働者一人当たりの、各月ごとの時間外労働・休日労働の合計時間数等の労働時間(高度プロフェッショナル制度の適用を受ける労働者にあっては、健康管理時間)の状況
(※1)育児休業に関する制度に準ずる措置が講じられた場合の当該措置によりする休業を言う。以下同じ。
(※2)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する男性労働者を雇用する一般事業主が講ずる育児を目的とした休暇制度をいう。
(2)一般事業主が行動計画を策定・変更しようとする際は、⑴で把握した事項について、行動計画策定指針を踏まえて、適切な方法による分析を行うことを義務化
(3)一般事業主が行動計画を策定・変更する場合、次世代育成支援対策を定める必要があり、その際は状況把握で得たデータをを使って、目標を定量的に定めることを義務化
(4)厚生労働省令で定められた休業の範囲として、「3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者を対象とした育児休業や育児目的の休暇」を含むこととする
くるみん認定、トライくるみん認定及びプラチナくるみん認定の認定基準の見直し
■くるみん認定関係
現行のくるみん認定基準の一部について、下記の通り基準を見直す
①男性の育児休業等取得に係る認定基準の引き上げ
ア 一般事業主行動計画の計画期間において、育児休業をした男性労働者の割合を「10%以上」→「30%以上」に引き上げる
イ 計画期間に育児休業等及び育児目的休暇をした男性労働者の割合を「20%以上かつ育児休業等をした者が1人以上」→「50%以上かつ育児休業をした者が1人以上」に引き上げる
なお、中小企業(※)に対する特例の一部を見直し、計画期間内に育児休業や育児目的休暇制度を取得した男性労働者がいなかった場合も、当該計画の開始前過去3年以内の特定の期間を計画期間とみなし、その期間内で男性労働者が一定割合で育児休業等を取得すれば、基準を満たしたものとする。
(※)一般事業主であって、常時雇用する労働者の数が300人以下の企業
②「育児休業等を取得した女性労働者」の割合が75%以上とされているところ、「育児休業等を取得した女性有期雇用労働者」の割合についても75%以上とする
なお、中小企業に対する特例として、計画期間内に育児休業等を取得した女性有期雇用労働者の割合が75%未満の場合も、当該計画の開始前過去3年以内の特定の期間を計画期間とみなし、その期間内で女性有期雇用労働者が75%以上育児休業等を取得すれば、基準を満たしたものとする
③3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について、「育児休業に関する制制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮又は始業時刻変更等の措置」に準ずる制度を講じていることの要件を削除
④雇用する労働者(一部短時間労働者を除く)について、次のいずれかを満たさなければならない
ア 労働者一人当たりの各月の時間外労働及び休日労働の合計時間須賀、計画期間終了日が属する事業年度に属する各月ごとに全て30時間未満であること
イ 25歳以上39歳以下の労働者の一人当たりの各月の時間外労働及び休日労働の合計時間数が、計画期間終了日が属する事業年度に属する各月ごとに全て45時間未満であること
■トライくるみん認定関係
①現行のトライくるみん認定基準の一部について、「■くるみん認定関係」①~③まで及び⑤と同様に基準を見直す。
なお、①ア及びイについては下記の通りとする。
ア 育児休業等をした男性労働者の割合を「7%以上」→「10%以上」に引き上げ
イ 育児休業等及び育児目的休暇をした男性労働者の割合を「15%以上かつ育児休業等をした者が1人以上」→「20%以上かつ育児休業をした者が1人以上」に引き上げ
■プラチナくるみん認定関係
①現行のトライくるみん認定基準の一部について、「■くるみん認定関係」①~④までと同様に基準を見直す。
なお、①ア及びイについては下記の通りとする。
ア 育児休業等をした男性労働者の割合を「30%以上」→「50%以上」に引き上げ
イ 育児休業等及び育児目的休暇をした男性労働者の割合を「50%以上かつ育児休業等をした者が1人以上」→「70%以上かつ育児休業をした者が1人以上」に引き上げ
②下記の全ての措置を講じる。
・年次有給休暇の取得の促進のための措置
・短時間正社員の活用に関する措置、在宅勤務、情報通信技術を活用した勤務その他の働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置
・男性の育児休業取得期間の延伸のための措置
なお、上記に加えて「年次有給休暇の取得の促進のための措置」又は「男性の育児休業取得期間の延伸のための措置」の少なくともいずれか一方について、定量的な目標を定めて実施し、その目標を達成する必要がある
③育児休業等をし、又は育児中の労働者が就業を継続し、活躍できるような能力の向上又はキャリア形成の支援のための取組に係る計画を策定し、実施する必要がある
その他
■以下の経過措置を設ける
・この省令の施行日前のくるみん認定、プラチナくるみん認定又はトライくるみん認定の申請については、改正前の基準を適用する
・施行日から令和9年3月31日までの2年間のくるみん認定、プラチナくるみん認定又はトライくるみん認定の申請は、改正前の基準を適用することができることとする
・くるみん認定申請に係る計画期間が、施行日前後でまたがっている場合、改正後の新基準の適用にあたっては施行日前の実績は計算期間に含めず、施行日以降の期間のみにおける実績で算出することも可能とする
■その他所要の改正を行う
改正による影響
一般事業主行動計画及び各種認定の認定基準に係る改正が行われます。
企業の担当者は、改正内容を確認し、経過措置を考慮した上で適切な対応を行ってください。