内容 | 個人事業者等の健康管理に関するガイドライン(案)に関する御意見の募集について |
適用期日 | 令和6年3月下旬(予定) |
詳細 | 概要 パブリックコメント ※2/29迄 |
改正の背景
令和4年5月から令和5年10月まで「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」が開催され、報告書においては「個人事業者等が健康に働くために、個人事業者等が自身で行う事項、個人事業者等に仕事を注文する注文者又は当該仕事を管理する者(プラットフォーマーも含む)が行う又は配慮する事項等」が示されたことを踏まえて、ガイドラインを策定し、これらの事項を周知し、自主的な取組みを促すこととします。
改正の概要
1,基本的な考え方
■個人事業者等による取組
個人事業者等は、自ら事業を営む事業者等であることから、健康管理については自らで行うことが基本であり、心身に配慮して働くことや、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、自らの健康状態を自覚し、心身の健康の保持増進に努めることが重要である。
■注文者等による取組
個人事業者等が注文者等から注文を受けて仕事を行う場合には、注文者等による注文条件等や作業環境が個人事業者等の心身の健康に影響を及ぼす可能性があることから、その影響の程度に応じて、注文者等が必要な措置を講じることが重要である。
■個人事業者等及び注文者等の関係団体等による取組
個人事業者等や注文者等が加入する業種・職種別の団体や仲介業者は、個人事業者等及び注文者等が上記の取組を円滑に実施することができるよう、必要な支援を行うことが期待される。
その際、当該団体等が、本ガイドラインを参考に、それぞれの業種・職種の実情や商習慣に応じた業種・職種別のガイドラインを必要に応じて策定することも期待される。
■国による取組
国は、個人事業者等の健康管理を支援するための取組を行うこととする。
2,個人事業者等自身による健康管理
■定期的な健康診断の受診による健康管理
- 保険者が実施する特定健康診査等を活用し、1年に1回、定期に健康診断を受け、その結果に基づき必要な精密検査を受けたり医療機関を受診したりすること。
- 特定の危険有害な業務に従事する場合、労働者であれば、特殊健康診断の実施が事業者に義務づけられているところ、個人事業者等においても、特殊健康診断と同様の健康診断を受け、その結果に基づき必要な精密検査を受けたり医療機関を受診したりすること。
■長時間の就業による健康障害の防止
- 自身の就業時間を把握し、睡眠・休養の確保も含めた体調管理を行うこと。
- 就業時間が長時間になりすぎないようにすること。なお、健康への影響を未然に防止する観点から、同様の業態で働く労働者に適用される労働時間の基準と同水準の就業時間とすることが望ましい。
- 就業時間や疲労蓄積度をチェック・記録できるツール(アプリ)等の活用により、長時間就業による疲労の蓄積があると感じる場合には、医師による面接指導を受けること。
■メンタルヘルス不調の予防
- 定期的なストレスチェックを実施すること。
- 高ストレスと判断された場合には、医師による面接指導や看護職、心理職等による健康相談を受けること。
■腰痛等の筋骨格系疾患等の防止
- 自らが就業する場所における適切な作業環境を確保すること。
- 長時間の座り作業や運転業務を行う場合には、適切な作業姿勢、適切な椅子等の調整、休憩等の対応を取ること。
- 情報機器作業を行う場合には、作業場所の明るさ等の調整、情報機器作業に関する健康診断の受診等の対応をとること。
■個人事業者等のヘルスリテラシーの向上
- 心身の健康に配慮した働き方、生活習慣の改善等についての知識を深め、心身の健康の保持増進に努めること。
- 健康に影響を及ぼすおそれのある危険有害業務に従事する場合には、あらかじめ当該業務による健康障害リスクや健康障害を防止するために必要な対策についての知識を得ておくこと。
■注文者等が実施する健康障害防止措置への協力
- 注文者等が作業者の健康障害を防止する観点から定めたルールに従うこと。
3,注文者等による措置
■長時間の就業による健康障害の防止
- 個人事業者等の安全衛生を損なうような長時間就業とならないよう、期日設定等に配慮すること。
- 注文者等から依頼される業務の性質上、就業時間が特定される場合(※)は、就業時間が長時間になってしまった個人事業者等からの求めに応じて、注文者等が医師による面接指導を受ける機会を提供すること。
(※)以下に掲げるような特定のケースで働く個人事業者等を想定。
ア 注文者等が、1日に配送すべき荷物量を指定するなど、個人事業者等の日々の業務量を具体的に管理・指定しているようなケース
イ 映画の撮影現場のように、個人事業者等側で業務量や業務時間を自由にコントロールできないようなケース
ウ 個人事業者等が、注文者等の事業場に常駐して、注文者等の労働者や他の個人事業者等と共同で一つのプロジェクトに従事するなど、個人事業者等側で業務時間を自由にコントロールできないケース
■メンタルヘルス不調の予防
- 個人事業者等が就業により心身に不調をきたすことがないように、個人事業者等の安全衛生を損なうような就業環境、就業条件とならないよう配慮すること。
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)等を踏まえ、パワーハラスメントを防止するために必要な措置を講じること。
■健康診断の受診の促進
- 個人事業者等に対し、安全衛生教育や健康診断に関する情報や受講・受信機会を提供するよう配慮すること。
- 個人事業者等に危険有害業務を請け負わせる場合には、当該危険有害業務による健康障害を防止するために必要な情報を伝達すること。
- 労働者であれば特殊検診が必要となる業務を反復・継続して個人事業者等に注文する場合には、請負契約に当該検診費用を安全衛生経費として盛り込むこと。
- 個人事業者等が専ら一者から注文を受けた仕事のみを行っているような場合であって、「①契約期間が1年を超える場合」又は「②1年を超えない契約期間の請負契約を繰り返し締結している場合」には、請負契約に一般検診費用を安全衛生経費として盛り込むことが望ましいこと(40歳以上の個人事業者等については、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)に基づき特定検診の実施が義務付けられているため、請負契約に一般検診費用を盛り込む必要はないものとする。)。
- 個人事業者等が作業を行う場を統括する者(建設工事の元方事業者や製造工場の事業者など)は、安全衛生教育の受講や健康診断の実施状況を確認すること(当該者が協力会社などにその確認を委任することも可能とするなど、柔軟な運用を想定。)。
■作業環境による健康障害等の防止
- 注文者等から依頼される業務の性質上、就業場所が特定される場合には、当該就業場所について、適切な環境境確保のために必要な措置(室内の温度管理、気積の確保、照度の確保、便所の設置等)が講じられていることを確認すること。就業場所を注文者等が管理していない場合には、注文者等は当該場所を管理・貸与する者(建築物貸与者)にこれらの措置が講じられていることを確認すること。
改正による影響
個人事業者等及び注文者等をはじめ、関係団体等は、ガイドラインの内容をよくご確認の上、健康管理について適切に取組を行ってください。