被改正法 | 子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針 |
改正法 | 子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針の一部を改正する告示 |
告示日 | 令和6年9月上旬(予定) |
適用期日 | 改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日(施行日未定) |
詳細 | 概要 パブリックコメント(7/27迄) |
改正の背景
育児休業、介護休業又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律(令和6年法律第42号)の一部施行に伴い、子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活の両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針の一部が改正されます。
改正の概要
■妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前の時期の、仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取と配慮
(1)改正法第2条による改正後の育児・介護休業法(以下「法」)第21条第2項(※)の意向確認の他、育児休業後の復帰時や労働者から申出があった際等に当該労働者の意向を確認することが望ましいものであることを規定する
(2)法第21条第3項(※)の意向の配慮については、当該事業所の状況に応じつつ、例えば次に掲げる事項について配慮することが考えられることを規定する
- 始業及び終業の時刻に係る調整
- 終業の場所に係る調整
- 業務量の調整
- 子の養育に関する制度又は措置を利用することができる期間の見直し
- その他労働条件の見直し
(3)⑵の他、法第21条3項(※)の意向の配慮については、次に掲げる対応が望ましいものであることを規定する
- 労働者の子に障害がある場合や子が医療的ケアを必要とする場合であって、当該労働者が希望するときには、短時間勤務の制度や子の看護等休暇等の利用が可能な期間を延長すること
- 労働者がひとり親家庭の親である場合であって、当該労働者が希望するときには、子の看護等休暇等の付与日数に配慮すること
(※)育児・介護休業法第23条の3第6項において準用する場合を含む
■「柔軟な働き方を実現するための措置」の各措置の具体的な内容
(1)各措置の具体的な内容
- 法第23条の3第1項第2号に規定する在宅勤務等の利用をすることができる日数は、措置を講じていると認められる最低限の日数を規定したものであり、当該日数より高い頻度で利用することができる措置とすることが望ましいものであることを規定する
- 法第23条の3第1項第2号に規定する所定労働時間の短縮措置は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとした上で、「1日の所定労働時間を5時間とする措置又は7時間とする措置」、「1週間のうち所定労働時間を短縮する曜日を固定する措置」、「週休3日とする措置」等も併せて設定することが望ましいものであることを規定する
- 法第23条の3第1項第4号に規定する休暇を与えるための措置は、労働者の勤務の状況等が様々であることに対応し、始業の時刻から連続せず、かつ、終業の時刻まで連続しない時間単位での休暇の取得を認める措置となるように配慮することを規定する
- 法第23条の3第1項第4号に規定する休暇を与えるための措置について、以下の通り規定する
ア 法第23条の3第3項の規定による労使協定の締結により、厚生労働省令で定める1日未満の単位での法第23条の3第1項第4号に規定する休暇の取得ができないこととなる、業務の性質又は業務の実施体制に照らして、厚生労働省令で定める1日未満の単位で同号に規定する休暇を取得することが困難と認められる業務は、例として下記が該当する場合があること。
・国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員の業務等であって、所定労働時間の途中まで又は途中から法第23条の3第1項第4号の休暇を取得させることが困難な業務
・長時間の移動を要する遠隔地で行う業務であって、時間単位の法第23条の3第1項第4号の休暇を取得した後の勤務時間又は取得する前の勤務時間では処理することが困難な業務
・流れ作業方式交代制勤務による業務で合って、時間単位で法第23条の3第1項第4号の休暇を取得する者を勤務体制に組み込むことによって業務を遂行することが困難な業務
イ 法第23条の3第3項の規定による労使協定の締結により厚生労働省令で定める1日未満の単位での休暇の取得ができないこととなった労働者であっても、半日単位での休暇の取得を認めること等、制度の弾力的な利用が可能となるように配慮すること
(2)法第23条の3第4項の規定により事業主が労働者から意見を聴くに当たっては、子を養育する労働者からの意見聴取や労働者に対するアンケート調査も併せて行うことが望ましいものであること規定する。
(3)法第23条の3第1項の規定により講じた「柔軟な働き方を実現するための措置」を利用する労働者については、当該労働者の家庭や仕事の状況が変化する場合があることを踏まえ、労働者が選択した制度が当該労働者にとって適切であるかを確認すること等を目的として、同条第5項の規定による面談等を実施した以降においても、定期的な面談等を実施することが望ましいものであることを規定する。
(4)事業主が「柔軟な働き方を実現するための措置」を講じる際の対応について
- 法第23条の3第1項の規定による「柔軟な働き方を実現するための措置」を講じようとするときは、職場の実情を適切に反映するため、事業所の業務の性質、内容等に応じて講じる措置の組み合わせを変えるなどの措置を講ずることが望ましいものであること、また、それまでの各制度の事業所における活用状況にも配慮することが望ましいものであることを規定する。
- 法第23条の3第1項の規定による「柔軟な働き方を実現するための措置」を講じようとするときは、例えば3つ以上の措置を講ずることや、講じた措置について多様な内容の措置を設定すること等、可能な限り労働者の選択肢を増やすための工夫をすることが望ましいものであることを規定する。
- 法第23条の3第1項の規定による「柔軟な働き方を実現するための措置」については、例えば短時間勤務の制度を選択した労働者が、当該措置を利用しながら在宅勤務等の措置に準じた措置を利用することができる社内制度とするなど、労働者が選択した措置と併せて、その他の制度を同時に利用することができる社内制度とすることが望ましいものであることを規定する。
- 労働者が法第23条の3第1項の規定による「柔軟な働き方を実現するための措置」の適用を容易に受けられるようにするため、あらかじめ、当該措置の対象者の待遇に関する事項を定め、これを労働者に周知させるための措置を講ずるように配慮すること、また、当該措置を講ずるに当たっては、労働者が就業しつつその子を養育することを実質的に容易にする内容のものとすることに配慮することを規定する。
■育児期の両立支援のための定期的な面談
子を養育する労働者については、育児期に当該労働者の仕事と育児の両立に係る状況やキャリア形成に対する考え方等が変化する場合があることを踏まえ、法第23条の3第5項の規定による面談等の他、妊娠・出産等の申出時や育児休業後の復帰時、所定労働時間の短縮措置や法第23条の3第1項の規定による「柔軟な働き方を実現するための措置」の利用期間中等においても、定期的な面談等を実施することが望ましいものであることを規定する。
■心身の健康への配慮
子を養育する労働者や家族を介護する労働者に対し始業時刻変更等の措置や在宅勤務等の措置を講ずるに当たっては、夜間の勤務や長時間労働等により心身の健康の不調が生じることのないよう、当該労働者について事業主が配慮を行うことや、労働者自身による心身の健康保持を促すことが望ましいものであることを規定する。
また、当該配慮等の例として、在宅勤務等の措置において、テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン等に沿って、適正な労務管理をすること、面談を実施し労働者の健康に関する状況を把握し配慮すること、勤務間インターバル(前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することをいう。)を導入すること等が考えられることを規定する。
■その他要所の改正を行う
改正による影響
育児・介護休業法の改正に伴う指針の改正となります。
人事担当者は改正内容をご確認の上、該当する従業員への対応を適切に行えるよう、適用日までに準備を進めましょう。