社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する政令の一部を改正する政令等の施行及び社会保障に関する日本国とイタリア共和国との間の協定の発効に伴う実施事務の取扱いについて

通知名 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する政令の一部を改正する政令等の施行及び社会保障に関する日本国とイタリア共和国との間の協定の発効に伴う実施事務の取扱いについて
(令和6年2月6日年発0206第1号~第2号)
通知日 令和6年2月6日
適用日 令和6年4月1日
詳細 概要

改正の背景

社会保障に関する日本国とイタリア共和国との間の協定が国会で承認されたことに伴い、「社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例に関する政令の一部を改正する政令(改正特例政令)」及び「社会保障協定の実施に伴う国民年金法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の特例等に関する省令の一部を改正する省令(改正特例省令)」が令和5年10月25日に公布されました。

本通知では、イタリア協定が令和6年4月1日から効力を生じることを踏まえ、イタリア協定の内容及び主な留意点と、厚生年金保険法等の特例並びにイタリア協定の実施事務における主な留意点等を通知するものです。

なお、この通知における用語の意義は、イタリア協定並びに特例法、改正後特例政令及び改正後特例省令における用語の意義によるものとします。

改正の概要

1,イタリア協定の内容及び主な留意点

■イタリア協定の内容

イタリア協定は、日本国とイタリア共和国(以下、「イタリア」という)との間で公的年金制度及び雇用(失業)保険制度の適用についての調整等を行い、持って両国間の人的交流・経済交流の促進を図ることを目的とするものである。

■イタリア協定における主な留意点

①二重加入の防止の規定

(1)公的年金制度
一方の締約国の法令に基づく公的年金制度に加入している被用者が雇用者により当該一方の締約国の領域から他方の締約国の領域内で就労するために派遣され、かつ、その派遣の期間が五年を超えるものと見込まれない場合、又は一方の締約国の法令に基づく制度に加入している自営業者が他方の締約国の領域内で自営業者として一時的に就労し、かつ、その自営活動の期間が五年を超えるものと見込まれない場合、当該一方の締約国の法令のみが適用されること。

(2)雇用(失業)保険制度
一方の締約国の法令に基づく雇用保険又は失業保険制度(日本国については雇用保険制度、イタリアについては失業保険制度)に加入している被用者が雇用者により当該一方の締約国の領域から他方の締約国の領域内で就労するために派遣され、かつ、その派遣の期間が五年を超えるものと見込まれない場合、当該一方の締約国の法令のみが適用されること。

(3)適用免除の期間の延長
適用免除の期間の延長については、両締約国間の取決めにより、両締約国の権限のある当局又は実施機関において、(1)又は(2)にいう派遣の期間又は自営活動の期間及び更なる免除期間の合計が原則として十年を超えない期間の範囲で合意することができること。

②給付の申請等の代理受理の規定
一方の締約国の法令に基づく文書による給付の申請、不服申立てその他申告が他方の締約国の権限のある当局、実施機関又は連絡機関に提出された場合には、当該給付の申請、不服申立てその他申告については、その提出の日に当該一方の締約国の権限のある当局、実施機関又は連絡機関に提出されたものとみなすものとし、当該一方の締約国の手続及び法令に従って取り扱うこと。

2,改正後特例政令及び改正後特例省令における厚生年金保険等の特例

■改正後特例政令における厚生年金保険法等の特例

①厚生年金保険の加入の特例
厚生年金の加入の特例制度の対象となる社会保障協定として、イタリア協定が該当すること(特例法第25条及び改正後特例政令第50条)。

②審査請求等の手続の特例等

(1)審査請求等
厚生年金保険法等の規定による審査請求又は再審査請求について、政令で定める相手国法令の規定により同種の請求を受理することとされている相手国実施機関等を経由して行うことができること等とされているところ、対象となる相手国法令として、イタリアの法令が該当すること(特例法第 58 条及び第 59 条並びに改正後特例政令第 90 条)。

(2)戸籍事項の無料証明
市町村長(特別区の区長を含む。)は、政令で定める社会保障協定に係る相手国年金の受給権者に対して、条例の定めるところにより無料で戸籍事項の証明を行うことができることとされているところ、対象となる社会保障協定として、イタリア協定が該当すること(特例法第 61 条及び改正後特例政令第 93 条)

■改正後特例省令における国民年金法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の特例

イタリア協定に関する国民年金又は厚生年金保険の適用証明書交付申請書又は適用証明期間継続・延長申請書を提出するときは、その記載事項として、他の社会保障協定に係る各申請書と共通するもののほか、イタリアの領域内における就労先の税務番号を記載すること(改正後特例省令第2条、第3条、第6条及び第7条)。

3,イタリア協定の実施事務における主な留意点

■適用に係る主な留意点

(1)イタリア協定の効力の発生の日以前からイタリアへ派遣されている者又は自営業者として終了している者が、二重加入の防止の規定に基づき、イタリア協定の効力の発生の日からイタリアの法令の適用を免除されるためには、適用証明書の交付申請書の受付日がイタリア協定の効力の発生の日から6か月以内である必要があること。

(2)日本の事業主は、発行された適用証明書に、雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)の写しを貼付の上、一時派遣者へ渡すこと。

■その他

イタリア協定を実施するための様式については、別添2の通りであること。

4,施行期日

改正特例政令及び改正特例省令(イタリア協定の実施に係る部分以外の部分は除く。)は、イタリア協定の効力の発生の日(令和6年4月1日)から施行すること。
この通知は、イタリア協定の効力の発生の日(令和6年4月1日)から適用するものである。

改正による影響

海外派遣(出向)を行っている、または検討している事業所様は、当通知の留意点をよく確認し、改正日からは実施できるよう準備を進めてください。